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資料

<1>主要ゴム材料の種類と特徴

<1>主要ゴム材料の種類と特徴

①NR(天然ゴム)、IR(合成天然ゴム)

【1】

NRは、その名の通り天然の樹の乳液(樹液)から精製されています。成分は、科学的には高シスポリイソプレンです。
機械的強度が大きく弾性のすぐれたゴムであるが、天然ゆえの物性のバラつき、異物混入、価格変動の影響を受けやすい。
また、耐候性、耐油性、耐熱性、圧縮永久ひずみ等が悪い為、シール材等の用途には適していません。
<原料>

Hevea Brasiliensisのゴムの樹等
<原産地>

マレーシア、インドネシア、タイ、ブラジル、アフリカ等

【2】

イソプレンゴム(IR)は、化学的に製造された合成天然ゴムと言われています。
<商品名>

①JSR IR ②クラプレン IR ③ニポール IR ④キャリフレックス IR ⑤Natsyn…他
<メーカー>

①JSR ②クラレ ③日本ゼオン ④Good year ⑤shell

②SBR(スチレンブタジェンゴム)

SBRは、スチレンとブタジェンの共重合体。
SBRは、汎用合成ゴムとして、車のタイヤ他、様々な用途で使用されています。

ゴムの中では多量に生産されていて、全体の約8割と言われています。
もともと天然ゴム(NR、IR)の代用品として作られたもので、特性もほぼ変わりません。

耐熱性は天然ゴムより多少良いですが、鉱油に対しては耐性が無く悪い為、一般的なO-リング、シール材には不向きです。
植物油に対しては良好で、自動車のブレーキ液系統等で、シール材として使用されています。
<商品名>

①ブナS ②JSR SBR ③二ポール SBR ④ダイアポール SBR…他 Ameripol、Philprene
<メーカー>

①ランクセス社、バイエル ②JSR ③日本ゼオン ④三菱化成工業…他

③BR(ブタジエンゴム)

BRは、前述のNR、SBRと並ぶ代表的な汎用ゴムです。
特性は、SBRとほぼ変わりません。
SBR、NRと比較すると、耐摩耗性、反発弾性、耐老化性、低発熱性、低温特性が優れています。SBR、NRとブレンドされて使用されたりしています。
使用用途は、ベルト、ホース、タイヤ等、シール材料にはあまり使用されていません。
<商品名>
①JSR BR ②二ポール BR ③Asadene ④ブナCB ⑤Diene ⑥Ubepol BR…他
<メーカー>
①JSR ②日本ゼオン ③旭化成工業 ④Byer Elastomeres ⑤Firestone ⑥宇部興産…他

④IIR(ブチルゴム)

イソブチレンとイソプレンの共重合体。
適度の機械的強度を有し、耐熱、耐寒、耐候性も優れたゴムである。
鉱油系の油に対しては抵抗性が無いが、リン酸エステル系の油には良好な耐性がある。
後述のエチレンプロピレンゴムが出現するまでは、高温まで耐え得るゴムとしてシール材、高温用ホース等の材料として重要な位置を有していた。
しかし、圧縮永久ひずみが悪い為、シール用としてはあまり重要でなくなる傾向である。

ガスの透過性が低く電気的特性が良い為、タイヤのチューブ、絶縁材料(電線被覆)として多く使用されている。
<商品名>
①Exxon Butyl ②JSR ブチル ③Esso Butyl ④Polysar Butyl…他
<メーカー>
①Exxon ②日本ブチル/JSR ③Esso ④Polysar…他

⑤CR(クロロプレンゴム)

商品名のネオプレンとして非常に有名で、合成ゴムの中では使用実績が最も長いゴムである。機械的強度、耐候性、適度の耐油性、耐薬品性、耐熱性、耐寒性を有し、非常にバランスのとれたゴム材料です。その他、難燃性、ガス透過率が小さく、接着力が強いなど、様々な特性があります。但し、低温時に結晶化しやすい傾向がある為、低温時の動的用途には不向きである。
使用用途は、自動車部品(ベルト、ホース)、一般工業用品、接着剤、スポンジ製品、建築用品、電線等に多く使用されています。

<商品名>

①Neoprene(ネオプレン) ②電化クロロプレン ③スカイプレン ④ショウプレン

⑤バイプレン ⑥ブタクロール…他

<メーカー>

①デュポン社 ②電気化学工業 ③東ソー ④昭和電工 ⑤バイエル ⑥エニケムエラストマー…他

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NBR(ニトリルゴム)  Acrylonitrile-Butadiene  Rubber:NBR

ブタジェンとアクリルニトリルの共重合体から成り、ニトリル量が18~48%の物が市販されている。特性的には、ニトリル量が増加するに従い、鉱油系の油、炭化水素系燃料に対する抵抗は良くなるが、低温柔軟性は悪くなります。
加工性も良く機械的強度も十分で、シール材として特に要求される圧縮永久ひずみ、引裂強さ、耐摩耗性も他のゴムより優れており耐油性も良好な為、シール材料としては最も重要な材料の一つである。

温度的にも-55℃~+135℃の範囲で使用出来るので、一般の用途には十分である。
但し、構造中に不飽和結合を含む為、耐候性は悪い。また、NBR製品の保管等の場合には、オゾンを発生する電気装置の近くや、直射日光の当たる場所には保管しないように注意しなければならない。

<商品名>

①Hycar(ハイカー) ②JSR N ③ニポール ④PerbunanN(ブナN)

⑤Krynac ⑥Chemigum…他

<メーカー>
①デュポン社、宇部 ②JSR ③日本ゼオン ④⑤ランクセス社 ⑥エリオケム社…他

【NBRについて】

NBRは、耐油性合成ゴムの中では、もっとも広く使用されていて品種が多い。その種類を決めているのがアクリロニトロ含有量(結合AN量)である。この結合AN量が多ければ耐油性が上がり、少なければブタジェンが多くなり耐寒性が上がる。

NBR表

NBRの改良グレードとして、下記の様な代表的なものがある。

【1】HNBR(水素化ニトリルゴム)
NBRにはポリマー主鎖に不飽和結合(炭素・炭素二重結合)を含む為、耐熱性、耐候性、耐オゾン性勢等に限界があり、不安定な不飽和結合を飽和結合に変化させる為、不飽和結合部分を水素化反応することにより飽和結合に変化させています。水素化効率を上げる程、耐熱性、耐候性、耐薬品性等の改良効果が良くなります。
欠点としては、一般NBRより耐寒性、コスト面が劣ります。
<商品名>
①ゼットポール ②スーパーラバー…他
<メーカー>
①日本ゼオン…他


【2】XNBR(カルボキシル化ニトリルゴム)
メタクリル酸、アクリル酸を更に共重合した物。NBRと比較し、高い引張強度、高耐摩耗性がある。


【3】NBIR(アクリロニトリル-ブタジェン-イソプレンゴム)
ブタジェンの一部をイソブレンに置き換え3元共重合体にした物。耐摩耗性、機械的強度がある。
 
【4】その他
耐オゾン性を改良する為、相溶性の良いPVC(塩化ビニル)とブレンドされた物等、多様な種類がある。

⑦エチレン・プロピレンゴム(EPM・EPDM・EPR・EPT)

エチレン・プロピレンゴムは、エチレンとプロピレンの共重合体(EPM)と、更に少量の第3成分を含む三元重合体(EPDM)の2種類がある。
耐熱、耐寒性は良く、-55℃~+140℃まで使用可能で、圧縮永久ひずみも広い温度に渡り優れている。
このゴムの一番の特徴は、リン酸エステル系、グライコール系の作動油に対する耐油性が、非常に優れていることです。特徴としては、ブチルゴム(IIR)に類似していますが、ブチルゴムに比べ、耐オゾン性、耐熱老化性等は若干優れており、耐候性(非常に優れる)、耐寒性、耐溶剤性、耐無機薬品性(一部の強酸以外の酸、アルカリ性)も良好である。

また、反発弾性も良いので、自動車用ゴム製品、工業用ゴム製品、建築用ゴム製品等、広範囲で使用されていて、電気的性能に関してもブチルゴムより優れている為、高圧ゴム電線、高圧ケーブル等にも使用されています。 
現在では、SBR、BRに次ぐ生産量を誇る合成ゴムとなってます。また、比重が、市販されているゴムの中で最も小さいのも特徴の一つです。但し、鉱油に対しては、全く耐性がありません。
耐水性、耐蒸気性も非常に良く蒸気中では同温度の空気中より劣化は少なく、耐熱性の良いフッ素ゴム(FKM)、シリコンゴム(SI,VMQ)が、蒸気中では劣化が速いのと対照的で、相当の高温まで使用は可能である。
<商品名>
①ノーデル(Nordel) ②JSR RP ③エスプレン(Esprene) ④ブナ AP ⑤三井-EPT ⑥Vistalon ⑦Royalene…他

<メーカー>
①デュポン(Dupont Performance Elastomers) ②JSR ③住友化学工業 ④バイエル ⑤三井化学 ⑥Societe du Caoutchouc ⑦Uniroyal Chemical…他

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⑧ウレタンゴム(AU、EU)

組成的には非常に多くなものがあるが、大別して主鎖がエステル結合のポリエステルウレタンゴム(AU)とエーテル結合のポリエーテルウレタンゴム(EU)があります。
ウレタンゴムの特徴は、機械的強度、耐摩耗性が格段に良い事、硬さの高い割に弾性が良くニトリルゴム程度の耐油性を持っている。
ポリエステル系(AU)は、耐油性は良いが、耐加水分解性が悪い。エーテル系(EU)は、耐寒性は優れるが、耐油性は劣ります。
大きな欠点は、耐水、耐湿、耐熱、耐酸、耐アルカリに非常に弱く、温度が高いと容易に分解するので使用には注意が必要です。
<商品名>
①ノックスラン ②アイアンラバー ③タフレタン ④エラストラン ⑤アイアンセルバー ⑥その他 Adiprene、Vulcollan、Genthane…他
<メーカー>
①日本メクトロン ②NOK ③バルカー ④日本エラストラン…他

⑨シリコンゴム(MQ、VMQ、MPQ、FVMQ)

主鎖がSi-Oと言う無機化合物から構成され、側鎖にメチル基(MQ)、ビニル基(VMQ)、フェニール基(MPQ)、フッ素化アルキル基(FVMQ)がある。
ビニルメチルシリコンゴム(VMQ)は、現在最も多く使用されているシリコンゴムの代表と言えます。
シリコンゴムは一般的に耐熱性、耐寒性が非常に優れていて、-80℃~+250℃まで使用可能で、耐寒性は、現在のゴムの中では抜群に良い。耐候性も良く、圧縮ひずみも広範囲な温度に渡り低く良好。
耐オゾン性、電気的特性、非粘着性に優れ、生理的不活性もある為、自動車関連部品、医療関連部品、食品関連部品等に広く用いられています。
欠点としては、引張強さ、引裂強さ、耐摩耗性が悪い為、運動用シール材には不適当で、固定用として利用されている。また、ガス透過性が大きく、熱膨張が大きい、価格が高い。
シリコンゴムには、各種ゴムと同様な固形型の他、液状又は、ペースト状のゴムがあります。
室温で硬化するものをRTVシリコン、室温加硫と高温加硫の中間くらいで硬化するものをLTVシリコンと呼ぶ。
シーラント、接着剤、型取り用などに使用されています。
<商品名>
●VMQ…①KE ②TSE ③SH…他
●FVMQ…④FE ⑤EQE ⑥LS…他
<メーカー>
①④信越化学工業 ②⑤モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(旧.GE東芝シリコーン) ③⑥東レダウコーニングシリコーン

⑩ラテックスゴム(LATEX)

ラテックスは、もともとゴムの樹(へベア・ブラジリエンス)から採取される白い乳液状の樹液のことです。
今では、天然の物だけでなく、一般に水を主成分とする液体中に微粒子のゴムがエマルジョン(乳濁液)状態に分散した物もラテックスと呼ばれています。
天然ゴムラテックスの他に、SBRラテックス、BRラテックス、NBRラテックス、CRラテックス等があります。
用途としては、繊維加工用、紙加工用、浸漬製品(ゴム手袋、指サック、コンドーム他)、建築シーラント、接着剤、スポンジ等、意外に広範囲に使用されています。

⑪アクリルゴム(ACM)

シリコンゴム、フッ素ゴムに次ぐ耐熱性と、フッ素ゴム、ニトリルゴムに次ぐ耐油性持ち、特に高温化での耐油性は、ニトリルゴム等よりは優れています。また、廉価でコストパフォーマンスにも優れています。
オイルシール、O-リング、ホース等の自動車部品用途を中心に需要が増えてきています。
昨今、高寿命製品が多くなり、耐熱性、耐油性を要求される需要が多くなってきており、更に増加している状況です。
<商品名>
①ノックスタイト ②JSR AR ③ニポール ④トアアクロン ⑤ハイカー4021…他
<メーカー>
①日本メクトロン ②JSR ③日本ゼオン ④東亜ペイント ⑤Bf Goodrich…他

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⑫フッ素ゴム(FKM、FEPM、FFKM)

現在市販されているフッ素ゴムは、FKM(フッ化ビニデリン系)、FEPM(テトラフルオロエチレン-プロピレン系)、FFKM(テトラフルオロエチレン-パープルオロビニルエーテル系)等があり、一番代表的なものがFKMである。
FKM中でも、二元化系、三元化系、改良型、種々加硫法の違うもの等多種あります。
一般的に、ゴム材料の中では多方面に優れた性質を持ち、コストも高く最高峰のものである。
ゴムの中では優れた性質により、シール材料としては重要な材料となっている。
使用温度範囲が広く、-40℃~+230℃、短時間では300℃以上に耐える。
耐油性は、一部のリン酸エステル系の作動油を除いて、鉱油系、合成のジエステル系、シリケートエステル系等の、現在使用されている作動油のほとんどにおいては高温まで耐える。
耐薬品性、耐溶剤性も抜群で、高い高濃度の鉱産、ハロゲン化炭化水素に耐える唯一のゴムである。
但し、有機酸系、ケトン、エステル、アミン系の薬品には相当膨潤するので使用不可。これらの薬品に使用する場合要注意であり、適したタイプのものを選定する必要がある。
また、機械的特性、耐摩耗性、耐候性も良いが、加工性がやや悪く、低温性が少し落ちる。
<商品名>

●FKM…①バイトン ②ダイエルG ③ダイニオン(フローレル) ④テクノフロン
●FEPM…⑤アフラス
●FFKM…⑥カルレッツ ⑦ダイエルパーフロ ⑧ブレイザー…他 ⑨フローリッツ…他

<メーカー>
①ケマース(デュポン社より分離) ②⑦ダイキン工業 ③Dyneon-住友スリーエム

④Ausimont ⑤旭硝子 ⑥Bf Goodrich ⑦Dupont Performance Elastomers

⑧ニチヤス ⑨日本バルカー工業…他

フッ素ゴムは、昨今では多数の種類があり、使用用途に合ったものを選択する必要が出てきています。
例えば前述でも記述しましたが、エンジンオイル、配管防錆油等アミン系の添加材等の使用が増えてきており、一般使用されているFKMでは支障が出て使用できない状況も多々ありますので要注意です。

【1】FEPM(四フッ化エチレン-プロピレンゴム)

テトラオロエチレン(TFE)とプロピレン(P)との交互共重合体をベースとしたフッ素ゴムで「アフラス」の商標名で旭硝子が製造しました。
アフラスは、2つのタイプ(TFE-P…2元系、TFE-P-T…3元系)に分類されます。 
3元系は、特にFKMより耐アミン性が優れており、これらの特性を生かして自動車のエンジン回り等のシール材に使用されています。


【2】FFKM(四フッ化エチレン-パーフルオロメチルビニルエーテルゴム)

このゴムは、FKMやFEPMでも劣化するような過酷な条件下でも使用できるゴムです。
最高グレードの最高峰になります。このパーフロローエラストマーは耐薬品性、耐熱性に優れたテフロンの様に完全フッ素化された重合体で、デュポン社が「カルレッツ」として開発したものです。
ただ、他のフッ素ゴム同様、コンパウンドの種類が多々ありそれぞれで特性の違いがある為、使用条件下により選定が必要となってきます。

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<2>主要ゴム特性一覧

主要ゴム特性一覧

◎実用可能 ○特定の場合を除いて実用可能 △特定の場合を除いて実用不可 ×実用不可

※注意 この特性一覧表は、あくまで目安としての参考値ですので保証するものではありません。実際のご使用は、試験片などによる実用試験でご確認の上ご使用ください。

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フッ素ゴム特性一覧

FKM:バイトンA、バイトンB、ダイエルG

FEPM:アフラス

FFKM:カルレッツ、ダイエルパーフロ/パーフロロエラストマー

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○適合 △チェックが必要 ×不適 (耐油、耐薬品性の場合)

※注意 この表は、あくまで目安としての参考ですので材料を保証するものではありません。実際のご使用は、試験片などによる実用試験でご確認の上ご使用ください。

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<3>エラストマー材料分類

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<4>高圧ホース、ネジ識別方法

只今準備中です

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